historio
ゲームについて
historioは、歴史の流れを現代にリサイクルする体験ができる、4人用の対戦型カードゲームです。世界史を習っている高校2・3年生向けの教材ですが、大人の方でも楽しめます。
教材ダウンロード
ファイルは下のダウンロードボタンからダウンロードできます(約26MB)。
ダウンロード注意点
- A4サイズで印刷してください。
- カードはかなり厚めの紙で印刷した方が生徒が喜びます。
- よりカードらしくする際はぜひ裏面の印刷もして下さい。
- カードの裁断の際ははさみかカッターをお使い下さい。
ルールについて
実際に生徒さんや友達とやる時は、こちらのルールポスターをご覧下さい。
簡単にいうと、歴史の因果関係のフィールドを作って、図のように歴史カードの上に現代カードを置きかえるゲームです。
2人一組の2チームで現代カードを交代ばんこに置いていき、フィールドの白い因果関係の道に沿って、先に自分のチームのカードを5枚つながるように置けたら勝ちです!
カードを使った五目並べのような感覚です。
このカードゲームは大きく4つのフェーズに分かれます。
今回は「18世紀のイギリス産業革命の労働問題の原因や解決方法を、現代の労働問題に置き換えて考えてみよう」というテーマを例に、ルールを説明していきます。
1. 遊び場作り
まずはプレイヤー4人で下のように、フィールドシートの上に歴史カードを置きます。これで産業革命期の労働問題の因果関係ができたわけです。(産業革命期の労働問題はよくテーマに挙げられるので、ここの置き方を高校生にやってもらうのもおすすめです)
2. チーム内での作戦会議
次に2人一組で赤チームと青チームに分かれ、historioのセットに含まれている現代カードを見ながら、この現代カードはどの歴史を言い換えているかを考えてもらいます。
おおよその検討がついたら、1人1枚だけ、自分で歴史を自分の言葉で今風に言い換えて、オリジナルカードを作ってみましょう。
3. 対戦開始
作戦会議が終わったら、チームで山札を作りシャッフルします。下のように裏向けにおいて上から3枚引きます。じゃんけんをして勝ったチームからゲーム開始です。
具体的には下のセットを交代ばんこに繰り返します。
- 山札の上から1枚をカードを手札に加えます
- サポートカード(緑のカード)を使います(使わなくてもOK)
- フィールドの「Reason」にある10枚の歴史カードのうち、まだどちらも置いていない歴史カードを選び、【どこがどう似ているのかを説明して】その上に手札の現代カードを置きます。
※この時、相手チームはいちゃもんをつけられます。「それは言い換えになってない!」と反論が出た時は、4人でどこに置くのが正しいのか協議します。反論が通ればそこに置くのを防げます!
これを、下のように「Reason」ゾーンの自チームの現代カードが3枚つながるまで繰り返します。
4. あがり!
3枚つながれば(原因で3枚→問題1枚)現代の労働問題の原因が歴史みたいにマクロに分析できているはずです。
この状態になっているのがあがるための条件です。
これで手札に「未来の解決カード」という黄色いカードがあれば、あがりにチャレンジできます。
まずは自分たちの置いた現代カードを使って、現代の労働問題の原因を相手チームに説明します。その後、それを解決するための方法を相手チームに言います。
相手チームが10秒以内にそのデメリットを反論できなければ勝ちです!反論された時は次の番にまたチャレンジになります。(ただし、反論は3回しか使えません)
学習効果について
この教材は私が修士研究でデザインしたもので、実際に私立の高校2年生28人に効果検証を行いました。
通常の授業後に比べ、この教材を用いることで、
- 歴史用語から現代用語を連想する力
- 現代の労働問題の原因を分析する力
の2つが有意に向上していることがわかりました。「歴史を使って何の役に立つの?」という人に、歴史を学ぶ意義をわかってもらうのに最適な教材だと思います。
詳細はこちらの論文(歴史の因果関係を現代に応用する力を育成するカードゲーム教材のデザインと評価)に載っていますので、興味のある方はぜひご覧下さい。
付記
本教材は教育用に配布しているものです。ダウンロードや教育実践での許可は一切必要ありません。どうぞご自由にお使い下さい。ただし、本教材を商業目的で二次利用することは認めておりません。ご注意下さい。その他、ご相談等はikejiriryohei(アットマーク)gmail.comまでご連絡下さい。
Special Thanks
本教材の歴史カードのイメージ画像は、カザアイシノ 様(http://www.kazashino.org/)にご協力いただきました。
現代カードのイメージ画像はゆんフリー素材集 様(http://www.yunphoto.net/)をはじめ、クリエティブコモンズの画像を利用させていただきました。